サティン入り江のなぞ

画像1992年にフィリパ・ピアスの「サティン入り江のなぞ」(高杉一郎訳 岩波書店刊)について私が書いた文章の一部である。
「サテン入江のなぞ」のナンおばあちゃんは、なんと深いカイロス・垂直の時間とクロノス・水平の時間を持っていることであろうか。
だからこそ、ナンおばあちゃんは、
(自分の長男を死に至らしめたのがアーノルド・ウェストだと知りながら、彼の世話をするのではなく、彼の世話になることによって、深すぎる痛手を負ったこの男を生かし続けてきたのである。   清水真砂子子供の本のまなざし181ページ )
 ピアスはさらに幼いケートにアーノルド・ウェストを担わせてしまう。
 それは、ケートがそれを担うにたる深いカイロス・垂直の時間とクロノス・水平の時間を持って生まれてきていたからである。
 「許す」ということの本質的意味をピアスは知っている。
 アーノルド・ウェストはひきょうでちいさい男である。しかし、彼はかれなりに罪と罰を背負って生きようとしている。
 それを感じ、彼の行為を受け入れることが、「許す」という行為である。
 「許される」ことによって、アーノルド・ウェストには彼の罪を彼自身が許すための生命力が注ぎ込まれたのである……と私は思う。
  …彼の罪を彼自身が許す…ということは、彼の罪を彼自身が止揚するというこである。

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